リスクマネジメントは価値を創造する
企業活動にはリスクはつきものです。中には、企業の経営をゆるがすような重大なリスクもあり、ニュースで取り上げられることもあります。競争のグローバル化や技術革新、そして世界における自然災害の被害額増大など…。企業やその他の組織を取り巻く潜在的なリスクが増大し、さらに複雑化し、そして多様化しています。
今ほど、リスクマネジメントの導入と運用が強く求められている時代はないのではないでしょうか。
国際規格ISO31000:2009では、リスクマネジメントの効果的な導入のためには、組織全体にわたって次の原則を守ることを勧めています。(以下は抜粋)
- 価値を創造して保護する。
- 組織のすべてのプロセスにおいて不可欠。
- 意思決定の一部。
- 不確かさに明確に対処する。
- 体系的かつ組織的で、状況に適切に対応している。
- 利用可能な情報に基づいている。
- 組織に合わせて作られている。
- 人的および文化的要素を考慮している。
- 透明性があり、関係者全員が参画する。
- 動的で、継続的に変化に対応する。
- 組織の継続的改善を促進する。
リスクマネジメントと聞くと、
「コストがかかる」とか、「後ろ向き」、「余計な仕事が増える」と言った印象を持つ方もいます。それなのに「価値を創造する」と言われても、なかなかピンとこないかもしれませんね。「価値を創造する」が、リスクマネジメントの原則の最初に記載されていることに深い意味があるように感じます。
リスクマネジメントは、組織の目標達成のためのマネジメントシステムです。
組織は、その存在価値を維持・増大するために様々な目標を定めて活動します。その目標達成に影響を与えうる、あらゆるリスクを特定し、分析し、評価し、運用管理すること。それこそが、リスクマネジメントの本質。組織の目標達成にはリスクマネジメントが欠かせないと言えます。まさに、目標達成のための「意思決定の一部」なのです。
つづいて、リスクマネジメントは「組織のすべてのプロセスにおいて不可欠」とありますが、これは言うまでもありません。組織の目標達成に寄与するマネジメントシステムですから、どの組織活動からも切り離して考えることはできません。リスクマネジメントは、特定部署の独立した活動ではなく、組織の全員が参加するべき活動と言えます。
にもかかわらず、残念ながら国内では組織的なリスクマネジメントの運用が十分にできていると言えません。
まずは、「リスクマネジメント」が一体どういう物なのかを知っていただくことが、重要な第一歩になるのだろうと思います。
このコラムが、価値創造のリスクマネジメント導入の一助になれば幸いです。
ライター
コラム一覧
第1回 2017年12月11日 | リスクって何だろう? |
第2回 2018年01月25日 | リスクマネジメントは価値を創造する |
第3回 2018年02月20日 | リスクマネジメントの導入実態 |
第4回 2018年10月23日 | リスクマネジメントのプロセス |