3. 主語と述語は直球勝負! ~ねじれないよう、まっすぐに~
文、文章といえば、避けて通れない(?)のが「主語」と「述語」。文に必要な、最低限の要素です。品詞や活用は忘れていても、主語と述語はおぼえていますよね。英文法ではSとV。主語が付く助詞は「は」か「が」が多い。学校で、必ず習っているはずです。
ですが、日本語では主語のない文をしばしば見かけます。たとえ省略されていても、想像できてしまうからでしょう。また、主語と述語が適切に対応していない文も見かけます。違和感をおぼえても、通じてしまうので、これでいいのかな?と考えがち……。
主語と述語が対応していない文は、「ねじれ文」とも呼ばれます。ねじれ文は、違和感と共に、あいまいさも生んでしまいます。主語と述語をしっかり対応させて、文の目的を明確にしましょう。
たとえば:
私の趣味は、月に3本映画を鑑賞し、感想をブログにアップしています。
主語「趣味は」、述語「アップしています」となっています。皆さん、「ねじれ」にお気付きでしょうか?
このようなときは:
私の趣味は、月に3本映画を鑑賞し、感想をブログにアップすることです。
述語を「アップすることです」に変更すると、主語と述語の対応が取れました。
たまに、「ねじれ」がわからないと言う人がいます。昨今はネット上に情報があふれているので、新聞や本を読まない人も増えているのでしょうね。そういった、あまり活字に触れていないタイプの人かもしれません。
また、会話だと、ねじれていようが途切れていようが、なんとでも通じるからかな、と思うこともあります。上記の例を話し言葉にしてみると、こんな感じでしょうか。
私の最近の趣味はさぁ、月3本くらい映画観て~ブログにレビューをアップしてるんだよね。
やはり、「全然大丈夫」*ですね。ただ、話し言葉と書き言葉は違います。文章表現では、主語と述語の関係を意識し、読み手にわかりやすく明確に伝えることが大切です。*「全然大丈夫」については後日考察します。
例文をもうひとつ:
目の健康に良い成分は、「アントシアニン」や「ルテイン」で、サプリメントで補えます。
主語「成分は」、述語「補えます」で、対応しているように見えますが……。書き手の意図が正しく伝わりにくい、ややあいまいな文になっています。
このようなときには、文を分けると良いでしょう:
目の健康に良い成分は、「アントシアニン」や「ルテイン」です。
これらは、サプリメントで補えます。
こうすると、目にいい成分はコレとコレで、摂取するにはこうしよう!が明確になりますね。
また、少し強引なリライト例ですが、以下もアリかと:
目の健康に良い成分は、サプリメントで補える「アントシアニン」や「ルテイン」です。
私がマニュアル制作に携わり、原稿を書き始めた頃は、日本市場のことしか考えていませんでした。いろいろな製品を担当する過程で、「翻訳しやすい日本語」の重要さを知りました。周囲の翻訳者さんからの「意味がわからない」という切実な声、声、声。中でも「主語は何?」という悩みが多かったような……。翻訳者さんのお悩み解決だけでなく、正しく伝わる文章を書くためには、日本語文法知識も必要です。テクニカルライティング技術の学習を通じて、文法を復習したことは、とても役立っています。
「なんとなく通じるからOK」は、日本語の功罪かもしれません。まずは「主語」と「述語」の関係を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
主語と述語を正しく使おう!
日本語文法を思い出そう!
ライター
コラム一覧
第1回 | 「あいまい文」の原因を知ろう ~悪い相性の記号や語句~ |
第2回 | 伝わる文章には秘密のエッセンスあり ~読み手に寄り添う心~ |
第3回 | 主語と述語は直球勝負! ~ねじれないよう、まっすぐに~ |
第4回 | 主語と述語の蜜月関係 ~なるべく近くに置いてあげよう~ |
第5回 | わかりにくい長文を変身させよう ~分かち書きと箇条書きのテクニック~ |