コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|③シンプルに考える
人は成長して大人になると(なぜか)物事を複雑に考えるようになります。カンタンのことを複雑に説明したり、カタカナ用語や難しいコトバを多用したり…。複雑にする方が知的に見えると思っているのか、大人は物事をあえて複雑にする傾向があります。物事が複雑になる理由として、人の感情や解釈(意味づけ)、そして政治的な理由(自分や他の人の立場)が加えられることがあります。人の感情や解釈、そして政治的な理由が加わると事実が見えにくくなって、物事を必要以上にややこしくします。
問題解決においても同様です。問題を解決することよりも問題を分析することや犯人捜し(あるいは保身)に多大な時間と労力を費やし、理屈を後付けし、問題を必要以上に複雑にしてしまうことがあります。
シンプルに考える
本質を追求するマインドでは、複雑なことであってもシンプルに考えます。他のものとの共通点を探したり、因果関係や相関関係を見つけたり、仕組みや構造を明確にしたり、必要なものと不要なもの・大切なこととそうでないことなどを分類・整理しながら構造化していきます。そうすることで物事の全体像をとらえ、本質を理解して対処することができるようになります。
「シンプルに考える」とは、不要なものをはぎ取る作業に他なりません。つまり引き算思考です。「エッセンシャル思考」とも言います。不要なものを、はぎ取っていくうちに本当に大切なものや物事の本質に近づいていきます。複雑に考える人は、はぎ取る代わりに自分の考えや感情、あるいは立場などを付け加えていきます。足し算思考です。結果、物事はどんどん複雑になり理解することが困難な状況になっていきます。
シゴトにおいても同じです。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ!と考えると思考はごちゃごちゃになって、どこから手を付けて良い分からなくなりますが、絶対に死守しなければいけないのはこれ、その他は捨ててもよい、と考えるとすべきことが明確になります。
シンプルに考えて言語化する
シンプルに考えることはカンタンではありません。たとえば、「あなたのシゴトを30秒で説明してください」「あなたのシゴトのもっとも大切なことは何ですか」と言われたらどう答えますか? シンプルに考える人は、説明上手です。複雑なことでも、シンプルで平易なコトバを使って分かりやすく説明することができます。あれもこれも説明するのではなく、本当に必要なもの以外を全部捨てて、大切なことだけを整理して順序正しく伝えます。しかも、相手が分かるように話を組み立てることができます。
物事の源流にさかのぼって原理原則を探求することで、「突き詰めればこういうこと」、「要するにこういうこと」、「一言で言えばこういうこと」、「例えるならこう」「最も大切なことは」と言語化できるようになるでしょう。
他者から相談されるときも同じです。相談者が問題の整理ができずに「問題ばっかりだ!」「もう無理!」と悲鳴を上げたとしても、相談内容から、問題の本質を見極めて的確に指摘するためには、シンプルに考える必要があります。
日常的に物事をシンプルにとらえ、そしてシンプルに伝えることができるように、「要するに〇〇」「一言で言えばこう」「つまり‥」と言語化する習慣を身に着けることをお勧めします。
ライター
コラム一覧
第1回 2018年10月30日 | 組織の健全化|経営のエネルギーロスを削減する! |
第2回 2018年10月30日 | コミュニケーションロスはどこで発生するか |
第3回 2018年10月30日 | 組織のコミュニケーションレベルを評価する |
第4回 2018年10月30日 | 組織に潜在するコンフリクトを把握する |
第5回 2018年10月30日 | コンフリクトマネジメントの実践で組織を活性化する |
第6回 2018年10月30日 | 対立を活力に変えるコンフリクトの活用 |
第7回 2018年10月30日 | コミュニケーションデザイン|組織の意思を可視化する① |
第8回 2018年10月30日 | コミュニケーションデザイン|組織の意思を可視化する② |
第9回 2019年1月3日 | コミュニケーションデザイン|引き出す技術を身に着ける |
第10回 2019年3月9日 | コミュニケーションデザイン|引き出す技術(良い質問は未来を開く) |
第11回 2019年12月6日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|①事象をありのままに受け入れる |
第12回 2019年12月12日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|②前提を知ろうとする |
第13回 2020年7月1日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|③シンプルに考える |