組織のコミュニケーションレベルを評価する
組織で発生するコミュニケーションロスは、ざっくりと、以下のような段階(LV)に分類できます。どの段階でロスが生じても、組織の意思を行動につなげることを阻害し、目標達成を阻害します。LVの数値が大きくなるほど組織に与える影響の範囲は大きくなります。
LV5:組織の存在目的や成長戦略(以下、意図)が整理されていない
■ロス区分:思考作業のロス
- 売り上げなどの数値目標はあるものの、組織の意図が整理されていない状態。
- この状態にある組織では、俗人的で場当たり的な意思決定がなされます。
一貫性のない意思決定に、社員が振り回されて疲弊しているかもしれません。
LV4:組織の意図が言語化されていない
■ロス区分:言語化作業のロス
- 組織の意図は(何となく)あるが、明文化されていない状態。
- 規模の小さい組織では、トップダウンである程度は一貫性のある意思決定がされますが、社長交代などによって「意思」が霧散していくおそれがあります。
LV3:組織の意図が社員に伝わっていない
■ロス区分:伝達不足によるロス
- 組織の意図は(どこかで)明文化されているが、関係者全員に伝えられていない状態。
- 形式的には問題ないように見えます(きちんとやっている感がある)が、情報発信はしても情報伝達まではできていません。部署間での情報格差が生じていないか確認してみてください。
LV2:組織の意図が正しく理解されていない
■ロス区分:聞く態度・理解力によるロス
- 組織の意図は関係者全員に伝えられているが、理解に至っていない状態。
- 情報伝達はできていても、それぞれ個人の解釈によって理解のバラつきが生じています。さらに、かみ砕いた説明が必要です。
LV1:組織の意図が正しく実行されていない
■ロス区分:バイアス(先入観、偏見、価値観の差)によるロス
- 組織の意図は理解されているが、他人事になっている状態。
- 組織の価値観が共有できていない状態で、社員の巻き込みが十分でないため、組織に一体感が醸成されていません。
組織が目標に向かうエネルギーは、これらの段階のどこかで、あるいは複数個所で毀損、喪失、改ざん、変容していきます。
組織の“限られた”貴重なエネルギーは、本来であれば目標達成のために余すところなく注ぎ込む必要があるはずです。意思決定事項が確実に実行されてこそ、求める結果を得ることができるからです。行動に移されない意思決定は意味を成しません。その意思決定のために費やされた時間も労力もデータもすべてムダとなります。
現状は行動によってのみ変えることができます。
組織のエネルギーがコミュニケーションロスによって行動に移される前に喪失していることを認識しいるでしょうか。結果に対して危機感を持つことは当然ですが、結果を生み出す行動とその行動を生み出すコミュニケーションに対してこそ注力すべきだと思います。なぜなら、コミュニケーションロスによって目標達成が阻まれているケースは、あらゆるところで見ることができるからです。
皆さんの会社では、コミュニケーションロスがもたらす影響について危機感が持たれていますか?
どこで、どの程度のロスが生じているかを把握していますか?
ぜひ、組織のコミュニケーションレベルを評価してみてください!
ライター
コラム一覧
第1回 2018年10月30日 | 組織の健全化|経営のエネルギーロスを削減する! |
第2回 2018年10月30日 | コミュニケーションロスはどこで発生するか |
第3回 2018年10月30日 | 組織のコミュニケーションレベルを評価する |
第4回 2018年10月30日 | 組織に潜在するコンフリクトを把握する |
第5回 2018年10月30日 | コンフリクトマネジメントの実践で組織を活性化する |
第6回 2018年10月30日 | 対立を活力に変えるコンフリクトの活用 |
第7回 2018年10月30日 | コミュニケーションデザイン|組織の意思を可視化する① |
第8回 2018年10月30日 | コミュニケーションデザイン|組織の意思を可視化する② |
第9回 2019年1月3日 | コミュニケーションデザイン|引き出す技術を身に着ける |
第10回 2019年3月9日 | コミュニケーションデザイン|引き出す技術(良い質問は未来を開く) |
第11回 2019年12月6日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|①事象をありのままに受け入れる |
第12回 2019年12月12日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|②前提を知ろうとする |
第13回 2020年7月1日 | コミュニケーションデザイン|本質を追求するマインド|③シンプルに考える |