採用3か条

2017年2月1日

 正社員の採用について第2回目のメルマガです。
 前回の復習をしますと、採用環境は、今と昔とでは次の3つに決定的な違いあることを提示しました。

  1. 人手不足
  2. 入社後早々に健康状態が悪くなる
  3. 入社後わがままをいう

 これらの3つについては、採用ミスにつながらないよう対策を交えて具体的に確認しました。
 さて、私は度々、顧問先様に対しては、次の「採用3か条」についてお話をします。
 結局のところ、人手不足の労働環境のなかにおいて、一定の選球眼をもって、入口のゲートを通過する方を見極めるには、やはりこの3か条しかないと思います。

採用3か条

  1. 心身ともに健康である人
  2. 協調性がある人
  3. 優秀な人

 すでに私たちは、1、2を前回のメルマガのそれぞれ、「入社後早々に健康状態が悪くなる」「わがままをいう」の項で事例と対策について見てきました。

 問題は、採用3か条を満たす人をどのようなプロセスを経て採用していくか、ということです。そのためには、しっかりとした、採用選考までのプロセスが必要となり、採用成功の方程式を確立しなければなりません。採用選考のプロセスの目的は、上に記したトラブルのない社員だけをゲートに通過させるために他なりません。

<採用選考のプロセス>

 それでは、以下の採用選考のプロセス全体像を見てみましょう。
 この例は、2回の面接で採用を決定しようとしているものです。必要であれば、3回になる場合があります。

【面接1回目】

a.事前確認書(辞めた理由・健康状態・親の介護・転勤等)10分

 

b.適性検査(機械の意見(セカンドオピニオン)を聞く)20分

 

c.テスト(実務を問う)20分

 

d.面談30分~60分

【面接2回目】

e.採用前アンケート(会社の厳しさを。面接で聞き漏らさない。)60分

 

f.最終面談(健康診断書の確認含む)60分

 

g.労働条件提示15分

 

※時間は、所用時間を指します。

 まず、【面接1回目】について。
 最重要事項は、心身ともに健康に働いてくれる人です。正社員の雇用にあたっては、健康診断書を確認のうえ、採用しますが、細かい記載がない場合も多いです。
 そこで、事前確認書として、健康アンケートをとります。

a.事前確認書

 第1回目で述べましたとおり、予めその方の健康状態をお聞きしなくてはなりません。健康状態は、プライバシーの最たるものであり、聞くことはためらわれます。また、厚生労働省の指導では、健康については、入社後に雇入時の健康診断を求めていることにより、入社後に実施するもの、という意識が担当者にはあるものと思います。しかし、会社には採用の自由があり、また民法上も契約の自由と言われる基本原則があります。そこで、実務上、上述したとおり入社前に確認しなければなりません。事前確認書には、(1) 主な既往症、(2) 現在の医師の療養を受けているか、受けていればその病名及び症状、(3) 過去、3年間で通院した病名等また、精神疾患なども記載しなければならないところでしょう。
 事前確認書は、健康アンケートの他、過去の在籍した会社名とその退職理由も記載していただきます。退職理由は極めて大切であり、その退職が、スキルアップのため等の自己都合退職なのか、整理解雇なのか、懲戒解雇かなどは、聞かなければなりません。優秀な方には長期雇用を前提としますので、例えば、前職を辞めた理由が長時間労働であれば、ワークライフバランスに配慮した職場環境を提供しなければならないからです。
 加えて、前職でトラブルがあったのかどうか、そのトラブルの理由は何だったのか、よく理由を確認するために記載いただいております。その理由如何によっては、採用の有無が決定されるものと思います。

 近年、親の介護のために今まで勤めてきた会社を退職し、実家に近い企業へ再就職する中途採用者が増加しております。親の介護をしなければならない旨、面談の上でお話されるものとは思いますが、お話をされず入社し、時間外労働をしないので、その理由をたずねると、親の介護があるから、という事実を後から知るケースもありますので、事前確認書には親の介護等、家族の介護をしなければならないか、という質問も入れておくと良いと思います。
 なお、事前確認書は、センシティブなことを記載いただくので、記載いただかなくてもかまわない、と予めお伝えしておくべきでしょう。

b.適性検査

 百戦錬磨の経営者であっても採用選考に間違いも起こします。強い思いこみもお持ちですので、専門検査を通して、本人を確認すると、気づかなかった特性が見えてきます。ある会社では、この評価結果がB以上でなければ、採用しない、と決めていることもあります。

c.テスト

 実務に直結したテストを実施したらいかがでしょうか。テストは、配属したい部署の上司に作成していただきます。たとえば、機械装置の設計者の採用であれば、上司が実務に直結した、設計の簡単なテスト問題を作ります。上司がテストを作りますので、結果を見れば、一緒にやれるかどうかは一目瞭然だと思います。なお、新卒であれば、このテストは不要かもしれません。

 ここまでが【面接1回目】となるのですが、概ね7~8割がた、1回目の面接で、わが社に採用したい方か否かという点が見えてくると思われます。あとは【面接2回目】で、より核心に触れる部分で最終ジャッジをしていくという段階となりますが、その内容は次回のメルマガでご紹介させていただくこととします。

ライター


金行 綾

金行 綾

北海道札幌市出身
北海道大学文学部卒業後、大手総合人材サービス会社勤務を経て、株式会社workup人事コンサルティングで社会保険労務士として従事。
人材にかかわる広範囲な知識と経験を活かし、各企業の実態に即した労務管理を行うことを得意とする。
現在は中国国営企業から上場企業まで、幅広い業種・規模の労務管理に携わる。
法的な観点に準拠しつつ、顧客のニーズを最大限に取り入れた就業規則策定、顧客の懐に深く入り込み、徹底した現場主義に基づく労務相談に特に注力している。

コラム一覧


第2回  2017年2月1日 採用3か条
第1回  2017年1月31日 企業は人なり