4. 主語と述語の蜜月関係 ~なるべく近くに置いてあげよう~

2016年4月7日

前回は「主語」と「述語」の重要性を述べました。今回は、主語と述語を正しく対応させるための、あるテクニックをお伝えします。


░ 「主語」と「述語」を近くに置く

ある取扱説明書内に、以下の文がありました。

該当する項目の画面表示は、チャンネルや音声・字幕などを切り替えたときなどに、自動的に数秒間表示されます。

決して悪い例ではありません。前後の脈絡を把握していないので断言はできませんが、何か意図があって、この文なのでしょう。読んでおわかりのように、何らかの「画面表示」が、どんなときに表示されるのかが書かれています。主語「画面表示は」、述語「表示されます」。少し離れていますね。

それでは、主語と述語を近付けてみましょう。

チャンネルや音声・字幕などを切り替えたときなどに、該当する項目の画面表示が自動的に数秒間表示されます。

「こんな操作をしたときに(条件)、こんな表示が出ます(主語と述語)」。明快で、より読みやすくなったと感じませんか?


主語と述語に限らず、「語句(語順)の入れ替え」は、とても便利な方法で、私もよく試みます。主語と述語の関係が見えやすくなりますし、語呂というか、リズムが良くなる効果もあるようです。その結果、読みやすさが向上するのでは?と考えています。


では、取扱説明書を離れて、日常の文を例に挙げてみます。

・ 友人たちは、私からの連絡を受け、さっそく甥の試合を見に来てくれました。
・ B選手は、C選手ができなかったジャンプを難なくこなした。

「友人たちが」、「見に来てくれた」。「B選手は」、「こなした」のですね。主語と述語を近付けてみましょう。

・ 私からの連絡を受けた友人たちは、さっそく甥の試合を見に来てくれました。
・ C選手ができなかったジャンプを、B選手は難なくこなした。

いかがでしょうか。主語と述語の間に長い語句が入っていたら、近付ける方向でリライトしてみてください。


░ 語句(語順)を入れ替える

では、主語・述語にとらわれず、「語句(語順)の入れ替え」について述べてみます。単純な入れ替えでグッと読みやすくなるものもありますが、この例では少し応用力が必要です。伝えたい内容の優先度によって、どのように書くかを考えてみます。

たとえば:

巷で評判のカフェを最初に紹介したのは、同僚のAさんです。

「同僚のAさんが紹介した」を強調したい場合は、上記のようにします。では、「最初に紹介した(誰よりも先に)」を強調したい場合は、どうすればよいでしょうか。

このようにしては?:

同僚のAさんが、巷で評判のカフェを最初に紹介しました。

語順の入れ替えは、自由自在というわけではありません。ですが、文が読みやすくなり、意味を変えないのであれば、トライする価値はあります。テクニカルライティングは、「使える技術」なのです。


【まとめ】

「主語」と「述語」を近付ける!
語句の入れ替えを検討する!


ライター


著者

峰本 恵美子

テクニカルライター&トレーナー

自動車オーナーズマニュアル、特装車・福祉車両・覆面パトカー、カーオーディオ、情報家電など、20 年以上にわたり、さまざまなマニュアル作成を経験。
業務用厨房機器カタログ制作のキャッチコピー作成など、「分かりやすく伝える」技術を活かした業務を担当する。
近年は、業務経験で培った「テクニカルライティングの技術」を研修講師として社内外に広く展開している。

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