5. わかりにくい長文を変身させよう ~分かち書きと箇条書きのテクニック~
「文」とは、句点で区切られた一続きの言葉です。では、「1文の長さ」は、どのくらいが適切でしょうか。普段文書を作成するとき、文字数を数えることはまずないでしょう。でももし、報告書やメールが「わかりにくいと言われる」とか「回りくどいと言われる」。そんな悩みをお持ちの方は、長そうな文の文字数をカウントしてみてください。何文字だったでしょうか。
テクニカルライティングの教科書には、このように明記してあります。
「一般に、1文は50文字以内にまとめると読みやすいといわれている」*と。
*参考出典『日本語スタイルガイド』 一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著
業界のルールですから、できるだけ守るよう、努力をしています。ここまで書いてきたコラムの文も、かなり意識して書いています。……意識していますが、どうしても50文字を超えることもあります。
50文字を超えることが、いけないというわけではありません。意味が不明確になったり、係り受けがおかしくなったり、一文一義になっていなかったり。そんな文は、50文字を超える長文ではないですか?見直してみましょう!という目安のようです。ですから、逆に考えると、50文字を超えても、簡潔にすっきりまとまっていれば大丈夫。それでも、私の感覚では70~80字が上限かな、と思っています。80文字を超えるようだと、意味は正確でも、読むのがつらそうなイメージがあります。
以下は、マニュアル内の文ですが、ほかの文書でも、よく見られる例だと思います。
素手で清掃すると、突起物などに触れて思わぬけがをすることがありますので、機器の清掃は、ゴム手袋などの保護具を着用して行ってください。(70文字)
接続助詞に要注意!
ここでの接続助詞は「ので」です。ほかには、「が」や「のに」、「し」など、文を長くしがちな接続助詞が存在します。ちょっと見直してみませんか?文を分けることを考えてみましょう。
[リライト例]
素手で清掃すると、突起物などに触れて思わぬけがをすることがあります。
清掃するときは、ゴム手袋などの保護具を着用してください。(34文字+28文字)
こうすると「一文一義」にも適合します。いかがでしょうか?
次に、ビジネス文書での報告書を思い浮かべてください。こんな書き方をする人はいないでしょうが、たとえば:
○月△日水曜日、午前10時からの打ち合わせに参集したメンバーは、AA、BB(営業部)、CC(総務部)、DD、EE(企画部)、FF、GG、HH(広報部)とZZ(経理部)でした。(86文字)
同等の並列語句を、箇条書きにできないか?
例文は、もちろんできます。ビジネスマンほとんどの方は、雛形とかテンプレートとか呼ばれる「定型書式」を利用されていると思います。したがって、上記のような文は書かないはずですが、メールだとわかりませんね。つらつらと、長い文を書いてしまうかもしれません。
[リライト例](一般的な定型書式に則ると)
日時:○月△日(水)10:00~12:00
会場:第※会議室
参加者:AA、BB(営業部)
CC(総務部)
DD、EE(企画部)
FF、GG、HH(広報部)
ZZ(経理部)
内容:……………。~~。
このような形になるかと思います。
ただ、やみくもに短くするのではありません。短ければすべて良し!でもないのです。長くてくどい、わかりにくい、そんな文を見つけたら、50文字を目安にリライトしてみては?
【まとめ】
1文の長さは50文字程度を「目安」に!
長すぎてわかりにくい文は、分かち書き&箇条書きを考えてみよう!
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